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セザムだより 第一号

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『英単語呂源』発刊にあたって  (2003.11.4)        

『アリババ』に出てくる開門のまじない「開けゴマ」は、英語で「オープン、セサミ!」(Open,Sesame!)といいます。そして、「ゴマ」を意味する“sesame”は、フランス語では「セザム」と発音します。「エコール」もフランス語で、英語のスクールにあたります。つまり、エコール・セザムとは、言ってみれば「ゴマ学校」「ゴマ学派」のことです。

次に、エコール・セザムという会社について説明します。
そんな出版社、聞いたこともない、と多くの方が首をかしげるのも当たり前。じつは、まだ出来たてのほやほや、2003年9月末に『英単語呂源』をひっさげてデビューしたばかりなのです。著者はこの私で、出版社の社長でもあります。
が、何を隠そう、正社員は今のところ私だけで、仕事のほとんどを一人でこなしています。本の編集・校正から、広告・宣伝、経理、書店回りの営業、問屋への本の搬送、その他雑用いろいろ、一人七役はやっていて、夜は別の仕事をしています。さて、会社設立の内幕を暴露しますと……

東京は飯田橋という所に、18年の歴史を持ち、ちょっとは知られたセザム進学会という塾がありました。(注:今もあります。)飯田橋はフランス人やフランス語とは縁の深い土地であり、私の個人的な理由もあって、エコール・セザムという、塾らしからぬ名前でも呼んでおりました。近所の中学生、高校生を集め、教え好きな講師達(代表の私もその一人で英語担当)が少人数の教室で熱心に授業を行ない、親身の指導によって数々の卒業生を志望校に合格させてきました。
しかし、悲しいかな、時代の流れには逆らえません。少子化のため縮小につぐ縮小を余儀なくされ、講師も一人、二人と歯が抜けるように去っていき、解散寸前。とはいえ、セザムの名を断じて消すわけにはいかない。絶体絶命の窮地に立たされ、闇の中の大きな壁に向かって、叫びました。
「開けゴマ!」

一年半ほど前のことです。「天恵」とも呼ぶべきチャンスが訪れました。私が十数年にわたり教え子達を実験台にしながら考案・工夫してまとめた小冊子「ダジャレで覚える英単語」、通称『ダジャ単』が、近くにある老舗の出版社の編集長の目に留まったのです。そして、思わぬ絶賛をうけ、ちゃんとした本の形にして出版しようという企画が持ち上がりました。まさに渡りに船、これ幸いとばかりに私は大風呂敷を 広げ、「あの『試験に出る英単語』を越える単語集を作ります、任せてください!」と息巻いて、出版社の快諾を得、好きなように作らせてくれるという条件つきで制作に入りました。そして、執筆から編集、イラストの依頼等、まる一年をかけてすべてを終わらせ、ようやく出版を目の前にしたその時!
出版社の内部事情で本の発行がお流れになってしまったのです。
夏の終わり、残暑の盛り、私は普段は着ないスーツをまとい、カバンに原稿を入れて、いくつかの出版社を訪ねて回りました。しかし、どこも持ち込み原稿に関しては対応がそっけなく、編集者がしっかり見てもくれない。もう怒りを通り越して、今に見ていろという心境です。よし、こうなったら自分で出すしかない!もともとセザム進学会はその事業目的に書籍の出版も掲げてあったので、早速出版部エコール・セザムを立上げました。印刷・製本等の制作費用はすべてセザムが負担、私の執筆料・給料は当分の間ゼロ。幸い、裏切った老舗出版社の編集長がその後もいろいろ個人的な支援をしてくれ、やっとのことで『英単語呂源』を世に送り出せることになったわけです。
9月22日夕方、本が出来上がり、印刷所から200冊届く 。本を数冊まとめて包んだ茶色い紙を解いて、初めてピンクの本を手にした時の喜び!9月25日早朝、二つの取次店へそれぞれ500冊、400冊、本を車で搬送。ぎっくり腰になりかけ、ここで入院したら元も子もないと気合いを入れ直す。9月28日昼、神保町の三省堂本店へ『英単語呂源』が売りに出ているかどうかを確かめに行く。語学書のコーナーに5冊平積みになっているのを見た時の感動!
その後あっという間に1ヵ月近くが過ぎました。
その間の経緯は、また次回へ。
(この「セザムだより」が「ベスト・セラーへの道」という題名に変わることを願って……)

2003.11.4 キス

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