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セザムだより 第六号

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新たな展開へ向けて~取次会社との関わり パート2~  (2004.8.28)

実を言うと、『単語呂源』の第1巻、初版3,000冊作ったのですが、完売してやっと元が取れる。〔制作費+広告宣伝費〕-〔初版の売上高〕=0で、著者(私)の執筆料はなし。印税も、1円も出ない!まあ、自費出版みたいなものですから、仕方がない、とあきらめておりました。第2巻は初版5,000冊作ったので、単価はずいぶん安くなったのですが、それでも最低2000冊売れないと元が取れない。ですから、2巻とも、出版関係者以外には無料で進呈しないこと、これだけは頑なに守ってきました。私の親族や友人、そして塾の生徒や卒業生、ご父兄の方々にも、お金を寄付してもらうという主旨で、割り引かずに定価で買ってもらっていた。

それが、第2巻を発行して3ヶ月ほど経った6月半ばのこと。
驚くなかれ、なんと第1巻の初版がなくなりかけてきたのです。販売書店の数が大幅に増えたこともありますが、ネット書店でもじわじわ売れ始めた!在庫の数をチェックしたら、第2巻も2,000冊近く、はけてしまった。

多分『単語呂源』を2巻出した相乗効果(これを狙っていた!)もあったと言えます。エコール・セザムのホームページを作ったことも大きかった。しかし何よりも、これまでの地道な宣伝活動がようやく実を結んできたのだと思います。
宣伝方法については、私なりにあの手この手の策を練り、実行してきました。昨年末から何度かにわたりNHKの英語のテキスト(『新基礎英語3』、『100語でスタート英会話』など)や新聞(掲載費の安い地方新聞ですが)に広告を出しました。また、チラシを制作して、全国の高校や予備校の英語の先生方に波状攻撃的にDM(ダイレクトメール)を送りました。その数、11,203通。郵送費だけでもざっと70万円!プラス、宛名シール代、封筒代、それにDM作成のバイト代がかかる。広告宣伝費は、大幅に予算オーバー、目玉が飛び出るくらいにかさんでしまいました。はじめ頭に描いていた計算式はもろくも崩れ、〔制作費+広告宣伝費〕-〔初版の売上高〕=マイナス約150万円。
これだけお金をかければ、初版の数くらい売れて当然かもしれません。

ともかく、第1巻の初版がなくなっては、会社の一大事。早速、増刷をかけました。なんと強気に5000冊!ついでに第2巻も増刷しちゃえ!とばかり、まだ3000冊以上在庫があるのに、さらに3000冊増刷。正気の沙汰ではありません。
これで売り上げがパッタリ止まったら一体どうするのだ?

この記事を読んでいらっしゃる皆さんは、私の性格をご存知ないかと思うのですが、私は攻めだしたら止まらないタイプなのです。よく言えばプラス志向の積極型、悪く言えば無謀な玉砕型なのかもしれません。

それはともかく、さきほど販売書店の数が増えたと言いましたが、3月半ばに、わが社に一大変化が起こりました。このことも売り上げの伸びに大きく関係している。
ちょうど第2巻を発行する直前に、取次会社の大阪屋、栗田出版、太洋社の3社と取引を開始することができたのです。これは、出版社エコール・セザムにとって大きなステップでした。

すでに取引をしていた二つの取次会社(博文社と地方・小出版流通センター)のことは前回に書きましたが、昨年9月末に第1巻を発行してしばらくすると、だんだん欲が出てきた。もっと多くの書店に『単語呂源』を置きたいと思い始めたのです。この2社だけでは配本する書店があまりにも少なすぎる。第1巻は、首都圏約50店、地方都市約70店に配本したわけですが、全部合わせても120店ほどに過ぎない。全国に書店がいくつあるかは知りませんが、多分首都圏だけでも主要書店は500以上あるかと思います。要するに、首都圏では、10店のうち1店で売っているに過ぎない。

2月の終わりに第2巻の校正が完了してすぐ、私は大手取次会社6社(トーハン、日販、日教販、大阪屋、栗田出版、太洋社)の書籍仕入れ部に電話を入れ、アポをとって、取引口座の開設のお願いに回りました。もちろん、博文社の川邊社長や地方小の川上さんには内緒にして……。

まず、水道橋の日教販に行きました。教科書と学参専門の巨大な取次会社です。しかし、新規の出版社は実績がないと難しいという理由で、体よく断られてしまいました。
次には最大手の取次会社二つ、トーハンと日販です。東京の江戸川橋と御茶の水にそれぞれ本社があり、どちらも巨大なビルを構えている。傘下に全国の数多くの書店と出版社を従え、まさに出版業界を支配している官僚機構のような存在です。
トーハンは前にもお願いに行ったことがありました。今度が二回目。アシスタントマネージャーのKさんがまた会ってくれました。彼は一筋縄ではいかないやり手で、なかなか用心深い。十分検討してみるという話でしたが、数日後電話がありました。今回も見送りさせてくれと言うのです。トーハンが取引している全国の書店での『単語呂源①』の販売データを調べたらしいのですが、まだ百数十冊で少ないから、というのが理由だった。要するに実績を上げろというお達し。
日販は、今度初めて訪ねてみました。出版社の人達がうじょうじょいて、混雑している。並んで順番を待つのです。官庁の窓口のような対応ぶりで、そっけない。組織が大きいので、受け付けてから責任者の裁定をあおぐといった感じなのです。日販の書店では結構売れているので、ちょっとは期待していたのですが、またもや残念な結果。出版社としてまだ発行点数が少ないということで、取引保留になってしまいました。

私は体制とか権威とかが嫌いで、そうした存在を見ると、どういうわけか戦闘意欲が湧いてくるタイプなんですね。相手がそう出るなら、今に見ていろ、といった心境になりました。この時点で、私は覚悟を固めました。トーハンと日販が本を卸している書店でも、注文さえあれば、私の本を入れることができます。川上社長のやっている地方・小出版流通センターから、この二つの取次会社を通して、配本するわけです。よし、じゃんじゃん注文を取って、トーハンと日販に、一泡吹かせてやろう!(そして、戦いは今でも続いている。そのいきさつはまた回を改めて!)

話がそれてしまいましたが、この3社に比べれば、大阪屋と栗田出版と太洋社はこじんまりとした取次会社で、町役場みたいな雰囲気が漂っていました。会ってくれた仕入れ部の係長の皆さんも親切で、ざっくばらんに話ができ、私の情熱を伝えることができました。

大阪屋は、その名の通り、大阪に本社があります。本を卸している主要な書店は、ジュンク堂とブックファーストです。私が訪ねたのは江戸川橋にある東京支社で、ここでは比較的スムーズに話が運びました。ジュンク堂の工藤社長を私が存じ上げていたこともあり、また渋谷と銀座のブックファーストでは『単語呂源』がそこそこ売れていた実績もあったからでしょう。O係長は、年齢は私と違いませんが、好好爺といった方でした。最初から取引OKという感じで、手続きのしかたを事細かに説明してくれました。今では、用事があって大阪屋に行くたびに、治郎左衛門(O係長に私が付けたあだ名)に挨拶し、冗談を言い合う仲です。

次は、栗田出版。実は青山ブックセンターという書店(最近倒産してしまった!)が私は大好きで、本店ではずっと『単語呂源』を好意的に扱ってくれたこともあり、ここに本を卸している栗田出版(本社は板橋区にある)とはどうしても取引をしたいと思っていました。だから、ここだけはきちんとスーツを着て、やる気満々の姿勢で乗り込みました。そして、担当のS係長はまじめでちょっと気の弱そうな方でした。多分私の必死の説得に、気おされたのかもしれません。後日、どこよりも先にS係長から正式に快諾のお電話をもらったときは、ほっとしました。

最後が太洋社。トーハンと大阪屋と同じく江戸川橋にあり、なかなか小奇麗な会社です。担当はN係長で、男前で品のよい方でした。熱心に私の話に耳を傾けてくれ、大阪屋と栗田がOKなら取引しましょうということになりました。彼は実に面倒見がよく、出版社の取引コード(取次各社が共通に使う出版社のゼッケンみたいなもの)を申請してくれたり、いろいろなことを私に教えてくれました。今でもなにかとお世話になっている。太洋社が本を卸している主要書店は、東京では書泉グランテと秋葉原のブックタワーですが、北海道のゲオとか、岐阜のカルコス(それまで知らなかった!)も有名です。

 この3社が取次会社に加わって、第2巻を発行したときには、配本した書店が一挙に300近く増えたことになりました。でも、それから先がなかなか大変だった。というのは、増えた書店の多くは東京よりもむしろ全国各地に散らばっていたからです。

2004.8.28 キス。



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